この一連の記事では、ホームページを新たに開設したり、古いデザインから変更したいと思っておられる方のために「サーバー」に焦点を当てて解説しています。
今回の記事では、もっとも自由にカスタマイズできる「専用サーバー」についてまとめたいと思います。
専用サーバーとは?
専用サーバーとは、その名の通り一台のサーバーを自分だけで使用することができるタイプのクラウド型サーバー(レンタルサーバー)です。
家に例えると、一戸建ての家に似ています。
専用サーバーのメリットとデメリット
一戸建ての家の場合、その建物に住むのは自分だけですので、内装や家具など自分の好きなようにカスタマイズできます。 同じように、「専用サーバー」もサーバーにインストールするプログラムや設定などかなり自由にカスタマイズできます。
一方で一戸建ての家にもデメリットがあるように専用サーバーにもデメリットがあります。
その一つは、何と言ってもコストがかかることです。
まず初期費用として数万円程度の費用がかかります。 加えて、月々の支払いも数千円から数万円程度になります。
もう一つのデメリットは、メンテナンスに関係したものです。 一戸建ての家の場合、家の中を自由に使えるのと同時に、家の中の家事も自分でしなければいけないですよね。 同じように、専用サーバーを運用したい場合、基本的な維持管理には専門的なスキルを必要とします。
仮にそれを行なうことができるスキルをもっていたとしても、そのために必要とされる時間や手間も考慮に入れる必要があります。
もちろん、これらのデメリットを考慮に入れても、共用サーバーでは実現が難しい非常に柔軟な設定と運用が可能ですので、このような「専用サーバー」を用いてWebサイトを運用しているユーザーも少なくありません。
マネージド専用サーバーとは
これは維持管理をサーバー提供側が行なってくれる形です。
このタイプのサーバーは運用するために特別なスキルを必要としませんし、その他の作業も基本的にすべてやってくれます。
また、費用も専用サーバーよりも安くすむこともあります。しかしこの場合、ユーザー側に「root権限」つまり、管理者権限がありません。 管理者権限はマネージを行なう提供元が持ちます。
この「root 権限」とは、基本的にサーバー内でいわば「なんでもできる権限」のことで、サーバーの運用の自由度が大きく変わります。
この点については、後日別の記事でご紹介したいと思います。
専用サーバーを考慮するうえで確認する項目
1.費用
サーバー提供元のプランによって異なりますが、基本的には初期費用と月額費用が必要です。
中には初期費用が安いものもありますが、月々の費用が高い場合、長期的にはかなりのコストが発生しますので、注意したいところです。
2.CPU・メモリ
共用サーバーの場合、一台のサーバーを他社と共有していますので、そのサーバー自体のスペックに関してはほとんど記入がありません。 というか、他のユーザーがどのような動きをしているかによって変化してしまうため、CPUやメモリが記入されていてもあまり意味がありません。
一方で専用サーバーの場合は、自分だけでそのサーバーマシンを使いますので、そのマシンのCPUとメモリは重要な要素になります。
当然のことながらCPUの処理速度と、メモリ容量は、Webサイトの表示速度は変化します。 近年では(2コア=デュアル、4コア=クアッド)など複数の「コア」(CPUの中にある「頭脳」の数。これが多いほうが同時並行的に処理を行なうことができるため処理速度があがります。)を持つCPUが多いですね。
3.ディスク容量(ストレージ)
これも、自分の運用したいと思っているWebサイトの容量によって、必要に合ったものを選択することができます。
基本的には共用サーバーのプランよりも数倍以上大きな容量を持つことができます。
さらに、このストレージには「HDD」(ハードディスクドライブ)と「SSD」(ソリッドステートドライブ)があります。 これは通常のパソコンの場合と同じですね。
ご存知の通り、一般的にはHDDのほうが容量が大きいですが、読み書きの速度が比較的遅く、SSDは容量は少ないですが、読み書きの速度は非常に速いです。
そのため、Webサイトのレスポンスの速さを優先するのか、容量の大きさを優先するのかで、選択が変わってきます。 多くのサーバー提供元では、どちらかを選ぶことができるようになっていますので、自分の必要にあったものを選ぶことができます。
4.サーバー稼働率とセキュリティー
専用サーバーを活用したいと思っているユーザーは、それなりの規模や個人情報を扱うようなWebサイトの運用を目指していることと思いますので、この項目も重要なポイントです。
基本的には共用サーバーよりも高いセキュリティーを持たせることができますが、その対応策などは提供元の会社によって異なります。
特定の企業の運用実績などは、口コミサイトなどで多く挙げられていますので参考にできるかもしれません。
5.サポート体制
専用サーバーの場合、基本的にどの提供元でも、メールや電話などで障害サポートなどを受けることができます。
しかし、その対応の良し悪しはいろいろあります。できるだけ親切に丁寧にサポートしてくれるところを選びたいものです。
ただし、基本的的にはサーバーの設定や運用に関しては専門的スキルを持っているのが前提でのサポートですので、注意が必要です。
また24時間365日の電話やメールでの対応サービスなどは有料になっている場合もありますので、サービスサイトを確認しましょう。
専用サーバー提供元比較
数社をピックアップして比較します。
No | 提供元 | プラン名 | 初期費用 | 月額費用 | CPU/メモリ | ストレージ | サーバー稼働率とセキュリティー |
1 | KDDIウェブコミュニケーションズCPI | CHM-11Z ※1 | 92,000円 | 27,000円~ | インテルXeon 6コア / 16GB | SSD 240GB | ◎ |
CHM-12Z ※1 | 120,000円 | 37,000円~ | インテルXeon 8コア / 16GB | SSD 480GB – HDD 2.4T | ◎ | ||
CHM-13Z ※1 | 140,000円 | 57,000円~ | インテルXeon 16コア / 32GB | SSD 480GB – HDD 2.4T | ◎ | ||
CHP-01S | 150,000円 | 20,000円~ | インテルXeon 4コア / 16GB | SSD 240GB | △ ※4 | ||
CHP-02S | 150,000円 | 25,000円~ | インテルXeon 6コア / 16GB ※3 | SSD 480GB – HDD 2.4TB | △ ※4 | ||
CHP-03S | 150,000円 | 37,000円 | インテルXeon 12コア / 32GB ※3 | SSD 480GB – HDD 2.4TB | △ ※4 | ||
2 | さくらのレンタルサーバー | さくらのマネージドサーバー ※1 | 48,600円 | 12,960円~ | Intel Xeon | SSD 360GB – HDD 700GB | 〇 |
スタンダードシリーズ ※5 | 86,400円~ | 9,720円~ | Xeon 4コア / 8GB – 64GB | SSD 480GB – 3.84TB, HDD 1TB – 2TB | 〇 | ||
140,400円~ | 16,200円~ | Xeon 8コア / 16G – 512GB | SSD 480GB – 3.84TB, HDD 1TB – 2TB | 〇 |
※1 マネージド専用サーバーのプランです。
※2 営業時間中であれば電話メールサポート可(24時間365日サポートは有料)
※3 最大64GBまで拡張可能
※4 有料オプション
※5 「さくらのレンタルサーバー」には、これ以外にも多くのプランがありますので、詳しくはサービスサイトをご覧ください。
専用サーバーのまとめ
専用サーバーは共用サーバーに比べ、多くのストレージを活用できるとともに、より自由にカスタマイズできます。
一方で初期費用と月額費用も長期的に考えるとかなりの費用にはなりますので、デメリットに関しても考慮が必要です。
また、運用には専門的なスキルを必要とすることも考慮に入れましょう。